「大豆を西郷村の顔にしたい」。53歳からの挑戦。「西郷ゆば工房」(有)クラフトマンルーム 代表取締役社長 仲谷照夫さん

バブル崩壊が人生の転機だった。豆腐パッケージデザインから再スタート。

デザイン制作会社を解散し、食品関係企業の仕事を独りで始めた。それが奇しくも豆腐パッケージデザインだった。「だったら豆腐を知らなければ」という気持ちで、工場見学をさせてもらった。「これは旨い!」。仲谷さんは、作りたての豆腐のおいしさに目から鱗が落ちる思いだった。暫く全国の豆腐パッケージデザインの仕事を続け、その世界ではスペシャリストになっていた。初心に帰るつもりで、埼玉県の太田屋さんの豆腐工場を見学させてもらった。その正直な豆腐作りの姿勢に心を打たれ、自ら豆腐やゆば作りをしたいと太田屋さんに熱く語った。太田屋さんは二つ返事で豆腐作りのイロハから機械選びなどを教えてくれた。他の豆腐メーカーにも足を運び、製造方法を模索した。プロ用の豆乳とにがりのセットを自分で企画してみた。が、当時はまだ製造工場がなかったため、岩手県のメーカーに商品製造を委託した。自らは西郷村のセカンドハウスを拠点に、車を駆って東北各県のホテルや旅館、レストランへ飛び込み営業を始めた。

満を持してセカンドハウス敷地内に、小さいながら自社工場を建設。

プロの料理人の前で実際に豆腐作りを披露して食べてもらった。異口同音に「これはおいしい!」と評価してもらえた。確信が自信に変わり、ついに53歳で一念発起。「西郷ゆば工房」を設立した。独りでコツコツ豆腐やゆば作りに励んだ。今では5人のスタッフに恵まれ、本物の商品作りに勤しむ毎日が続いている。「パッケージデザインを数え切れないほどやってきたのに、自分の商品にはシンプルに商品名や原材料名、賞味期限のラベルを貼るのみです」と笑顔がこぼれた。“手作り”“本格派”は当たり前。敢えて強調する必要がないというスタンスが口コミで広がり、敷地内の直売所を訪れるお客様が徐々に増え、2009年12月23日には直売所の2号店をオープンするまでに至った。

有機栽培の大豆にこだわる「西郷大豆の会」結成で西郷村の顔づくりを。

「西郷村産の大豆をできるだけ使い、西郷村の特産品にしませんか」。仲谷さんの呼びかけで、平成18年4月、趣旨に賛同した村内の大豆生産農家11名が参画し、「西郷大豆の会」が結成された。地産地消のムーブメントが少しずつ沸き起こった。当初180アールだった栽培面積も、今では30ヘクタールにまで拡大した。「昨年は3トンの収穫があり、嬉しい悲鳴を上げていますよ」。それでも工房の原料の約半分。目指すは全量西郷村産の大豆で賄いたいと目を輝かせた。しかも、西郷在来種の大豆の存在が明らかになり、気候風土に最適なのはもちろん、試作してみたら何とも美味だった。「西郷在来豆腐」として即商品化に踏み切った。

「大豆のポテンシャルはチャレンジ精神を掻き立てます」。

西郷村産の大豆は西郷村が取り組むマクロビオティック給食のレシピにも採用されている。豆乳ソフトクリームやイタリアから認定証を受けたジェラートも好評で、地元の遊戯施設「キョロロン村」では、昨年夏の2ヶ月半で約200万円を売り上げるなど、大豆のポテンシャルがいかんなく発揮されていた。また、おからは農業用堆肥や牛の餌としても無駄なく活用されている。それだけではもったいないと、白河市の菓匠「大黒屋」さんとのコラボでおからドーナツが商品化された。豆乳を多く含んだおからのしっとり感と、揚げずにベークドにこだわった“愛ドーナッツ”が話題を呼んでいる。「次は何にチャレンジしようか」と、西郷村“愛”に燃える仲谷さんはますます意気盛んだ。

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